宗家・出井 円美子(いずい えんびし)のご挨拶
人生百年時代がきた今、その命を大切に、与えられた時間を健康で楽しく生きてゆきたいものです。
私は幼少の頃より、バレエ・茶道・柔拳(太極拳・形意拳・八卦掌)に入門しました。父が巻き藁を突いたり、上半身裸で浩然の気を養うその姿が記憶に残っています。中学生になると私は姉と共に早朝の練習に起こされるようになり、眠い盛りの年頃にとっては苦痛そのものでした。その中にあっても形意拳を教わることは大変興味深いものでした。少し動作も速く武術性の強い動きは子供にとって楽しいものですが、呼吸が浅くなっている現代においては、自分の呼吸に向き合いゆったりとした深呼吸で養生する太極拳が青少年にとっても、大変有益であるということを後になって気がつきました。
高校卒業後は祖母の勧めもあって、京都の裏千家学園茶道専門学校に於いて三年間の全寮制生活を送り、毎日着物姿で修練を致しました。卒業後は暫く母の稽古場の手伝いをしながら、20代後半より太極拳の教えの道にも進み今に至っています。
当時の生徒さんはシルバー世代が多く親子以上に私と年が離れており、様々な人生勉強をさせて頂きました。また、やればやる程太極拳の良さが体を通して分ってくるようになり、生徒さんと共に健康を享受することが出来ました。教えることは正に学ぶことであり、今は10代の中学生から80代の高齢者までに広く教える機会に恵まれております。
さて、太極拳は中国湖北省・武当山が源流とされていますが、本来は道士(道教の僧)が丹を練るために編み出した養生術であり、最終的には仙人思想に昇華されていきます。百聞は一見に如かず、武当山に研修に出向いたことは大変に意義深いことでした。かつて、東京都勤労青年洋上セミナーで太極拳の講師として、何度も中国各都市を訪問できたことも大変に幸運な事でした。中国は公園大国であるとの印象を強く受けましたが、太極拳に象徴される不老長寿の願いは万人にとっての夢なのです。
日本太極拳法一楽庵では独自の歩法・発声法による、日本の風土に溶け込んだ太極拳で、皆様の健康づくりのお手伝いをしております。元気をつくることは人生を強く明るく楽しく拓いていくことに繋がるものです。 以上